ツモリチサト事業終了に見るブランド存続の鍵


昨日、ツモリチサトが

事業を終了するという速報が

世間に知れ渡った。


ツモリチサトといえば

90年代を代表する世界的に有名な

日本が誇るべきファッションブランドの1つだ。


現在の

原宿のkawaii文化を

作った人々のうちの1人でもある。


本当に残念なことに

ブランド立ち上げ30周年を迎える前に

事業終了というのはもう本当に

ギリギリだったのかもしれない。


個人的にファストファッションが

個性豊かなファッションブランドを

殺したといってもいいと思う。


それが時代というなら仕方ないし

もちろんその変遷の中で

また新たなファッション文化が

生まれることも事実だけど。


でも確実に私たち消費者の

ファッションに対する価値は

ファストファッションを境に

下がっていっていると思う。

良くも悪くも。


そのいっぽうで、だ。


絶えずブランドの価値を

力強く提示し続けるブランドもある。


とくに2019-2020年A/Wの

コムデギャルソンには本当に感動した。


70-80年代の

コシノジュンコや

イッセイミヤケ

ヨウジヤマモトのような


新しい時代の

ファッションスタイルを

挑戦的に打ち出したと思う。


すごくかっこよかった。

多分、ファッション好きじゃないと

わかってもらいないけど。


あ、リンク貼るね。


無重力さを感じる服だし

非現実的な洋服に思えるけど

このカッティング、パターン

素材の使い方はこれから

多数のブランドが真似をすると思う。


で、5年10年かけて

私たちが日常に着る服に落とし込まれるはず。

というか本当に美しいの。


時々まじで前衛的すぎて

わからないコレクションもあるでしょう?(笑)


でも川久保玲さんの作る服には

私たち一般人でも理解ができる部分がある。


そうだな、例えば

コレクションの80%は

理解できない服でまみれているけど

20%は理解できる部分があるという感じ。


もちろん、今打ち出された服を

そのまま街中で着ていくことはできないけど


こういう製法があるんだ

こういうカッティングができるのね

こういう部分に、こういう膨らみを持たせると

エレガンスになるのね


そうしてファッション分野の

マーケッターやらバイヤーやら

なんか偉い人が彼らの作る服の

エッセンスを盛り込んで


さらに消費者に分かりやすく

提示させていくの。


ハイブランドを着ることのない人でも

ハイブランドの恩恵を受けているのですね。

素晴らしいです。


さてさて、また脱線しましたけど。

そう。


ハイブランドという立ち位置は

確固たる不変のものだと思われがち。


シャネルが事業を終了するだなんて

誰も思わないでしょう?


カールラガーフェルドが亡くなっても

その意思を継ぐ人がいて


シャネルがシャネルたり得たら

存続し続ける。


それが「当たり前」

ってみんなそう思ってる。


でもね、違うんです。

ハイブランドだって

命が切れることもあるんです。


ツモリチサトだって

パリに店舗を持っているくらい人気だったし

コレクション発表は今でも世界中から注目されていた。

だけど事業を終了するって。


その明確な理由は

私にはわからないけど

でもコムデギャルソンの

あのコレクションを見て思ったんです。


ブランドがブランドで在り続けるには

常に新しい価値を提示し

新しい世界観を生み出さなくてはいけないと。


ときには

ギャルソンらしくないと

批判を浴びたとしても


次の一手として

今を生きる人の、何歩も先を見て

新しい何かを生み出さなくちゃいけない。

そう、進化しなくちゃいけない。


ブランドはそれが難しいんですよね。

だってそのブランドが人気であればあるほど

独特の世界観があればあるほど

その世界観を好む顧客に好かれ続けるために

不変的なデザインを打ち出す必要がある。


やっぱり

ドルガバといえばこれよね。

シャネルといえば、こうじゃない?

そう言われるアイコニックなアイテムは

なかなか捨てきれない。


ツモリは個人的にそれだったんだと思うの。

顧客ターゲットにマッチしなくなったら

ブランドイメージを変えるか、価格を変えるか

それしかない。


時代に合わせた戦略や

時代の先をいく戦略がないと

どんなに素晴らしいブランドであっても

やはりそれだけでは生きていけないのだと思った。


世知辛い世の中よ。



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