「お疲れさまです」がもつ意味

「お疲れさまです」

ほぼ毎日に近い割合で
立ち寄るコーヒー屋の
店員さんに

こう言われるようになった。

顔を覚えられた
気恥ずかしさもあり
照れながら会釈をする。

でも何日か経った後も
「お疲れさまです」
という言葉が心に残っていた。

なぜこんなに嬉しいんだろう。
なぜこんなに温かい気持ちに
なるんだろう。

そうだ。
私、「お疲れさま」って
言われることが
ほとんどなかった。

職場やチームで働く人なら
当たり前に口にする

「お疲れさま」

でも個人で働く人間は
あんまり言う機会も
言われる機会もない。

「お疲れさま」は
社内や近しい人間同士で
使うもので

取引先には大体
「お世話になっております」
で完結される。

友達と会うのでも
「お疲れさまー」より
「久しぶり!」や
「最近どう?」が多い。

疲れたときに
「お疲れ!」と
言ってくれる人がいない。

それは自由でもあり
少し寂しいことでもある。

私に
久しぶりに
その言葉をかけてくれた
コーヒー屋のお姉さんは

私がお店でいつも
PCを片手に仕事をする
姿を見てくれていたのだろう。

労いの気持ちをこめて
何気なく「お疲れさまです」
と放ってくれたのだろう。
 
オフィスで作業に集中しながら
惰性で言われる「お疲れ」とは
比べ物にもならないα波が
出ていたその言葉に救われた。

一人で仕事をしているが
ちゃんとそれを見て
くれている誰かがいた。

そう思って初めて
私は「お疲れさま」という
言葉がもつエネルギーの強さ
を感じることができた。

気張った気持ちを
ほっと和らげてくれる。
誰かが誰かを思う
素敵な言葉だ。

せめてもの恩返しで
コーヒー何杯も
飲みにゆきます。





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